Variations on a Silence——リサイクル工場の現代芸術/Project for a Recycling Plant アーカイヴプロジェクトのウェブサイト
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酒井幸菜

その道中の風景がときどき記憶に浮かんでくる。雑多な雰囲気の平和島駅からバスに乗り、生活感の希薄な幅広の道路を挟む工場地帯、対岸から飛行機が飛んでいくのを傍観することは、まるで安部公房の小説かヴェンダースの映画の中に迷い込んだような体験だった。
当時学生だったわたしにとって、美術館や劇場で様々な作品に出会うなか、稼働している工場で作品が展開されていることこそが空間として劇的な魅力であったし、辿り着くまでの景色を含めて、印象に残り続けている展覧会のひとつである。

酒井幸菜 振付家・ダンサー