蓮沼執太フィル「ミュージック・トゥデイ」@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアルでのホワイエでの展示企画で大変お世話になった五月女哲平さんが参加されているグループ展「ねこのほそ道」を観るために豊田市美術館に行ってきました。

ねこのほそ道@豊田市美術館

撮影:入江拓也

「隙間や内と外を自在に行き来する逸脱可能性として、また言葉の秩序から逃れる不可思議な存在として、自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、ねこのような現代美術を紹介する」というもので、6人の美術作家(泉太郎さん、大田黒衣美さん、落合多武さん、岸本清子さん、佐々木健さん、五月女さん)と1組の建築家(中山英之さん+砂山太一さん)が参加されています。
そう来たか!という作品もあったりして、美術館全体を使った、とても面白いグループ展だと思いました。

そして、五月女さんの作品、どれもとても素晴らしかったです。

五月女哲平作品

五月女哲平 《black, white and others》2023年
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《sunset town》2022年
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《日が沈む前に》2021年
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《horizon》2023年 *部分
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《horizon》2023年 *部分
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《horizon》2023年 *部分
撮影:入江拓也 *すみません、少し傾いてしまいっています…。

五月女哲平作品

五月女哲平 《あなたに贈る》2023年 *部分
撮影:入江拓也

五月女哲平作品

五月女哲平 《あなたに贈る》2023年 *部分
撮影:入江拓也

以下、展覧会カタログより。

3階の展示室では、青地の正方形に白い円を描いた小さな絵画《horizon》(2023年)が、正方形の壁を囲むように掛けられている。時の経過に連れて闇が深くなるように、歩を進めるたびに白い円がグラデーション状に青に染まっていく。ここで、空と大地/海を水平に二分する、古くから人々が様々な想いとともに眺めてきた景色が、普遍的な正方形と円の抽象形態と融合する。階調が青一色になったとき、その絵画は向かいの通路に飛び出し、今いる美術館の現実の壁も絵画にする。一面青に塗られた長い壁の側面を見ると、他の絵画と同じく、その下に何層も色が塗り重ねられていることがわかる。

長く狭い通路を歩いた最後に、灯りに照らされた小さな写真がぽつんと掛けられている。それは同じく画家であった祖父が、早乙女が生まれたときに贈ったという風景画に似た、海の光景を撮影したものである。絵画の下にある幾重にも重ねられた色のごとく、祖父と五月女の間にある時間と空間の隔たりを、海と絵画が繋げる。《あなたに贈る》(2023年)──それは親密な間柄で交差する記憶や愛を起点に、それを超えて見知らぬ「あなた」にも向けられている。

*能勢陽子「逸脱的で流動的なねこのほそ道」(展覧会カタログ、torch press、2023年、171頁)

「ねこのほそ道」展覧会カタログ

「ねこのほそ道」展覧会カタログ(torch press、2023年) 撮影:入江拓也

五月女さんの作品は、展示室のみではなく、レストランや茶室にも展示されています。
晴天で、茶室に行く道のりがとても気持ち良かったです。
(豊田市美術館は谷口吉生さんの設計。谷口さん設計の美術館は、MIMOCA 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 や法隆寺宝物館とかもそうですが、好きですね。)

豊田市美術館

豊田市美術館

五月女さんの作品がある茶室に向かう道のりの風景 撮影:入江拓也

茶室にあるこちらの作品は、ガラス面に設置されていて、「ミュージック・トゥデイ」でつくっていただいた作品と通じるものがあり、とても惹かれます。

五月女哲平作品

五月女哲平作品

五月女哲平作品

五月女哲平 《2つの太陽 #1 #2》2023年
撮影:入江拓也

美味しい抹茶と和菓子をいただいて、作品と空間の余韻を噛み締めながら、豊田市美術館をあとにしました。

五月女哲平作品

五月女哲平作品

庭から茶室を眺める 撮影:入江拓也

豊田市美術館は、ゲルハルト・リヒター展以来でしたが、春の(夏のような)陽気のなか、「ねこのほそ道」展を観ることができて、本当に良かったです。
どうもありがとうございました。

以下、展覧会情報です。5月21日(日)までですので、気になっている方はぜひ。

ねこのほそ道
2023.02.25-2023.05.21

決して飼いならされることなく、野生を保ったまま人間とともに暮らすねこ。なにかの役に立っているわけではないのに飼い主の情緒に豊かに訴える、そんな普通で変な生きもの。群れをつくらずひとりで狩りをする肉食獣の彼らは、独立心が旺盛で優雅な、家のなかの小さな虎である。
これまで人間は多くの種に影響を及ぼし、世界中の動物を絶滅へと追いやってきたが、ねこは長い時間をかけて人間と暮らすようになった。そして人間が自然を離れて都市を形成し、高層ビルに住むようになると、ねこも一緒に空に上がってきた。ねこはいつも、人工的な環境のなかでも決して手なづけられることのない、小さな自然である。本展では、隙間や内と外を自在に行き来する逸脱可能性として、また言葉の秩序から逃れる不可思議な存在として、自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、ねこのような現代美術を紹介する。

出品作家:泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一

会期
2023年2月25日[土]-5月21日[日]

休館日
月曜日[2023年5月1日は開館]

開館時間
午前10時-午後5時30分[入場は午後5時まで]

観覧料[当日券]
一般1,000円、高校・大学生800円、中学生以下無料
– 20名以上の団体は200円割引(他割引との併用不可)

主催
豊田市美術館

協力
青山目黒、KAYOKOYUKI、小山登美夫ギャラリー、SUNAKI. Inc、TAKE NINAGAWA、中山英之建築設計事務所

協賛
GEMINI Laboratory by TOPPAN

https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/catsnarrowroad/ より