完成から69年目を迎えた神奈川県立音楽堂。前川國男による建築に若い人にも親しんでもらおうと昨年から始まった「音楽堂のピクニック」。ホールだけではなく、屋外、ホワイエなど会場全体を使い、次々とパフォーマンスが行われ、この日会場に訪れた家族連れも多いに楽しんでいる様子が垣間見えた。しかし、ディレクターにアーティストの小金沢健人を迎えたことが象徴しているように、いささか実験的かつ挑戦的な内容でもあった。

とりわけ、この音楽堂とゆかりの深い武満徹氏や一柳慧氏などの先人の影響を受けた出演者たちのパフォーマンスは、この場と共振し、新たな可能性を生み出し、深い余韻を残すことに成功していた。既存のメディアで見ることはない世界を目の当たりにしたこの日の子どもたちは、いつかまたこの音楽堂に足を運ぶのだろう。

[日時]2023年3月4日(土)開場開演11:00 終演予定16:50
[会場]神奈川県立音楽堂
[出演者]山川冬樹、鈴木ヒラク・中山晃子・淺井裕介ドローイングトリオ(映像技術:岸本智也)、伊藤悠貴、滞空時間 TAIKUH JIKANG、梅若紀彰、内橋和久+山崎阿弥、LUCA+千葉広樹、野木青依、キンミライガッキ現代支部、ぺのてあ
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