2023年9月3日(日)より開催の展覧会「KAAT EXHIBITION 2023 浅田政志 展 YOKOHAMA PHOTOGRAPH -わたし/わたしたちのいま-」。こちらの展示の特設サイトを担当していますが、内覧会にご招待いただき、KAAT神奈川芸術劇場へ行ってきました。

自身の家族を被写体として撮影した写真集『浅田家』などで人気の写真家、浅田さんが今回テーマとしたのは「横浜写真」。

横浜写真とは、日本に写真技術が伝わった明治時代に、日本の風景や風俗をモチーフとしたモノクロ写真に色をつけたもので、来日外国人の窓口となった横浜で、土産物や記念品として売られていました。主に外国人向けということで、海外の方にとって珍しい、日本の様子を伝えるものとして喜ばれていたようです。

KAATで展示するにあたり、その横浜写真を現代で再現、という試みを昨年の打ち合わせで聞いており、どのようなものになったのかを見てきました。

会場に入って目に入る光景がまず印象に残ります。普段は舞台を照らす照明が、大判の写真パネルをピンスポット的に捉えて、それらがずらっとこちらを向いています。壁にかかった写真展をイメージしていた自分にとっては、意表をつかれて、興味深かったです。

バンドのアー写みたいです。

パネルの裏には、被写体の方々のメッセージがあり、「人生であと1枚だけしか写真が撮れないとしたら、あなたは何を写しますか?」というテーマで撮ったものゆえに、いろいろな思いが込められていました。

被写体を(神奈川県在住の方に限定して)募集して撮影された1枚1枚の写真は、どれも個性的で、浅田さんのシグネイチャー/世界観も表現されていると思います。

仕事で人物撮影の場に立ち会った機会は何度かあるのですが、カメラマン(静止画・動画とも)という方は、限られた時間の中で相手と心を通わしつつ、要求も飲んでいただくという、高度なパワーがあるなぁと思っているので、写真の中の方々の表情を見ると、現場でどのような意思疎通が図られていたのかが、豊かに想像されます。

メイキングの撮影・編集は、西野正将さん。

と思いながら、出口を出ると、メイキング映像も用意されておりました。演出の様子など、とても楽しそうです。

人物中心のカットの他に、現在の横浜の風景を写した、まさに「当時の横浜写真」を彷彿とする作品もあります。なかでも2021年にオープンしたロープウェイが映った、みなとみらいの写真が印象に残りました。「昔の渋谷駅前にはロープウェイがあったんだ」という豆知識が、ネットでは、たまに写真と共に話題になるのですが、そんな感じで、数十年後に、この2020年代を振り返って、このケーブルカーを見ると、また色々とこの時代の横浜を振り返るのかも知れません。それを想起させる写真が、明治期の技術を再現しようとした写真で…というような、頭がぐにゃぐにゃなる感覚が、個人的に良さげでした。

「Minatomirai Area #2」(撮影:浅田政志)
*ポストカードを撮影

そして、これまた当時の横浜写真のように、作品の中のいくつかがポストカードとなって、会場で販売されている点も、お洒落だなぁと思った次第です(カードは、全4種類。1枚・100円[税込]で、来場された方には、お好きなものが1枚プレゼントされます)。

展覧会 基本情報:

KAAT EXHIBITION 2023
浅田政志展|YOKOHAMA PHOTOGRAPH -わたし/わたしたちのいま-

会 期:2023年9月3日(日)~10月1日(日) *休場日 木曜日
時 間:11:00~18:00 (入場は閉場の30分前まで) 
会 場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ・アトリウム>
料 金:一般 1,000円(オリジナルポストカード付)/ 学生・65歳以上 500円 / 高校生以下 無料 
※アトリウムは入場無料
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
助 成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団
協 賛:アクセンチュア 芸術部
企画協力:浅田撮影局、株式会社サンエムカラー、東京都写真美術館、東京リスマチック株式会社、日本カメラ博物館、横浜美術館
撮影協力:神奈川フィルハーモニー管弦楽団、株式会社信濃屋 CASA del CUCITO、株式会社横浜エクセレンス、慶應義塾體育會蹴球部、Golden Cup、三溪園、曹洞宗 大本山 總持寺、日本発条株式会社、中国料理 鳳林、野毛大道芸実行委員会、ホテルニューグランド、メリ-ゴーランド研究所、吉田てづくり農園

*詳細はウェブサイト:https://kaat-seasons.com/exhibition2023/ をご確認ください。