5月27日(金)に開催された「GRENZFREQUENZ 限界振動」にて、刀根康尚さんの1962年の作品『足踏みオルガンのための音楽』が再演されました。

当日足を運んだ、SETENVメンバーのレポートを写真とともにお伝えいたします。


ステージの前に小さな足踏みオルガンが1台、その右手にやや大きな壁掛け時計が置かれている。

白いTシャツに白いパンツ、裸足の角銅真実さんが登場。

時計の上にふわっと、毛糸のようなものでできた輪っかを落とすと、おもむろにテープでそれを固定していく。

この時点ではわからなかったが、これが楽譜になっているようだ。

出来上がった楽譜(時計)を譜面台に置くと、角銅真実さんは鍵盤に突っ伏すように腕と頭を置いた。

少しの無音の後、フッ…フッ…と微かなオルガンの音から演奏が始まっていく。

間隔が短くなったり、長くなったり、音が大きくなったり小さくなったりしながら、時折激しくペダルを踏み鳴らす。

© Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo

© Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo

© Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo

© Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo

演奏後の金子智太郎さんと馬場省吾さんの解説でこの時計による楽譜の構造は理解したが、それを聞かずとも、演奏を聴きながら時計をじっと見ていると、なんとなく感覚的にも法則は掴めてくるものがある。

ただその解説にもあったように、この楽譜には「できる限り」とか「疲れるまで」のように演奏者に曲を委ねる注釈があって、そこにパフォーマーとしての角銅真実の力量を見せつけられたように感じた。

きっと角銅真実さんの非常に多岐にわたる活動の中で培われた表現のバリエーションの多さに拠るもので、説明を受けさえすれば、この曲を演奏できる演奏家は他にもたくさんいるだろうが、今回のようなクオリティにはそう簡単にはならないのではないだろうか。

© Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo